「ロミオとジュリエット」について、
ぼくは皮肉と矛盾の物語と書いたが、
考えを進めるうちにねじれてはっきり
してきた。原作者は不可能の愛を成就
させるために二人を死なせたのだ。
死者として一緒になれるようにした
強制的な心中物語なのではないかと。
そこでぼくは徹底した悲劇的なダンス
作品にしようと思った。
ダンスを悲しい舞踊詩にしたいと。
誰からも求められない死のロマン。
ロミオとジュリエット、いや彼と彼女、
いや誰かと誰か、いや一人と一人、
身体と身体、空っぽと空っぽ、
闇と闇、闇と闇は一つの闇になる。
感情が詰まった闇、は消えてゆく。
風にのって来て桜を咲かせて散らせた春が
長く伸びた雲に寝そべっている
今週末の土曜日に初日の「ロミオとジュリエット」の準備の日々。
すでに数えきれない解釈があり演出され、時にバレエ化もあるのは
知ってはいるが、ぼくはそれらについてほとんど何も知らない。
ぼくがやるのは解釈や理解ではなく、物語を文学から解放し想像
すること。こっちの方から遠くのあっちに何かを投げ返すことだ。
書かれたことと書かれていないことの間を探り、謎を見つけて形
を与える。それがぼくがやれることだ。
日々が謎々。
ダンスには独特の力、やり方がある。明瞭さからずれてまとまらない
時、予定調和ではない力が生まれる。そのように考えるのは、
ぼくが矛盾と葛藤する終わりがない渦の中にいるからだと思う。
この小さな男はいつものように大空を見上げては、思いっきり息を
吹きかける。
新作「インダストリアル ブック」は2回を終えて今日が3日目。
充実した精神が作業した新たな結実。2026年3月のノイズによる記述。
様々な強度が重なるノイズ、物質と精神、記憶から突如吹き出す現在。
飛び散った空間の破片、無意味が歌う失われた音楽。
物語の無い身体に刻まれたノイズロマン。
過去にもノイズを主テーマにした作品を作ったが、これはまさに過去
から吹き出した「現在」だ。
音楽構成は自分の新作ノイズから始まり様々なノイズ音楽が重なり、
ブラームスのピアノソナタやバッハのオルガン曲を織り交ぜ、
ゴダールの映画「軽蔑」のテーマ音楽をかぶせてノイズを増幅させた。
2026年初のアップデートダンスは、#117「音楽ノ星座」です。
去年末から一週間が経ち、佐東利穂子の存在とともに作品が姿を現した。
全体はピアノ曲で構成。前半にリゲティの澄んだ音色が鮮明に響く、
冷たい冬空、凍てついた指先に触れる星々が煌めき、中盤はラフマニノフ
の無言のロマンが天空から舞い降りる、後半は再びリゲティの鋭い響きが
夜空を切り裂くが如く縦横に光を放ち、余韻の中に光は失われ満天の星々
は闇に溶け、最後の最後に残った欠片が光る。
佐東利穂子が動き踊る。場面描写も感情表現も無く、ただ純粋に動き踊る。
時を超えて、遠い未来と遠い過去を行き交う今、年の初めに。
