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2017.06.20
2017年6月20日

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今日は「ペトルーシュカ」の5日目です。
初日から4回の公演を経て、作品は明確な形を表してきました。
もちろん「動く形」です。音楽と照明、そしてダンスとの
全体構成は変わっていません。
しかし日々踊りこむことによって作品に力が加わり、
それがダンスの面白さですが、決められた振付の繰り返しではなく、
作品に日々の新たな命が息づくのです。
生き物としての作品には、単なる準備した足し算のような計算では
到達できない水準に昇っていく力が沸き起こります。
もちろん日々の稽古や公演によって蓄積されたものが
基盤になければなりません。
まるで天候など自然界の現象のような動きつづける恒久性が、
限られた小さな劇場空間、限られた上演時間、限られた2人の身体、
それらが深く的確に働き合う時、特別な力を獲得して作品という
元々は形がはっきりしていなかった物に、青空に不定形の湧き上がる
雲のようにくっきりした動く形を与えるのです。
今日、新たな日に作品は、呼吸する今日の「ペトルーシュカ」として
表れます。出演者こそ作品という命を支えなければならないと
自覚して臨みます。
 勅使川原三郎
                       [メールマガジンNo.820より]

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2017.06.18
2017年6月18日

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今日は「ペトルーシュカ」の4日目です。
旧来の古典的「ペトルーシュカ」の内容を変えて苦悩や絶望が
身体化して皮膚から肉から切り離せられない人間そのものを
人形の姿にして表わすことにしました。
暗くアイロニカルな展開ですが、希求する美がどこにあるのかにも
焦点を当てようと私は考えました。
 
「美」を感じられるのは、「絶望の眼球」に映し出される現象や物質、
そして生き動く物が、私たちに向かって不可解な動作
(時にあまりに当たり前の)によって通常の理解を超えた「美しい」
を投げつけるからではないでしょうか。
 
私は「絶望」こそ人間に力を与えてくれるものではないかと思うのです。
望むべき喜びの根源にあり、「失望」から湧き上がる
アイロニーという知性は芸術を求める。
そこに不快感から解放される身体があります。
再構成された音楽は、より不安定な平衡感覚を増長させ、
未だ見ぬ物を視界に捕らえさせてくれる手助けをする。
ストラヴィンスキーの音楽こそ「ペトルーシュカ」です。
この作品には、密やかだが力強い見えない糸が張りめぐらされていると、
私はあらためて考えています。
 勅使川原三郎
                       [メールマガジンNo.817より]

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2017.06.17
2017年6月17日

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ペトルーシュカ」の2日目でした。
初日から少し、いや大胆に踊り方を変えたところがありました。
照明も含めて初日と全体構成は変えないのですが、
動きの質に変化を与えました。
旧来の古典的「ペトルーシュカ」とは異なった内容になっていると
言えますが、苦悩や絶望がどうしようもなく身体化して皮膚から肉から
切り離せられない人間そのものを人形の姿にして表わすことのアイロニーに
焦点を当てようと私は思いました。
これは私にとって実に興味深いテーマです。
そして美というものを感じられるのは、「絶望の眼球」に映し出される
現象や物質、そして生き動く物が、私たちに向かって極限なる
不可解な動作(時にあまりに当たり前の)によって通常の理解を超えた
「美しい」を投げつけるからではないでしょうか。
私は「絶望」を不快ではあるが醜いものではないと考えます。
ここにアイロニーが有する不快感が解放する身体がある。
再構成された音楽は、より不安定な平衡感覚を増長させ、未だ見ぬ物を
視界に捕らえさせてくれる手助けをする。
ストラヴィンスキーの音楽こそ「ペトルーシュカ」です。
私が生きる細い一本の綱の上では、その音楽が良く聴こえてきます。
例えていうなら、私にとって「ペトルーシュカ」は、一本の綱の上で
あらゆる高度方角に動き踊ることであります。公演後の話の時、
私はうれしくて思わず笑いがこみ上げてくるのを感じました。
今日は3日目の「ペトルーシュカ」です。どうぞご来場ください。勅使川原三郎
                       [メールマガジンNo.816より]

                          

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2017.06.13
2017年6月13日

No.46「ペトリューシュカ」_テキスト入りアウトラインあり-01
「ペトルーシュカ」はストラヴィンスキー作曲の高名なバレエ音楽です。
20世紀初頭にロシアバレエ団はフォーキン振付、ニジンスキーが踊る
「ペトルーシュカ」、カルサヴィーナが踊る「踊り子」で初演しました。
村祭り、人形劇の人形たちが命を得て踊り始める。
ペトルーシュカは踊り子に求愛するが謎の死を遂げる。
この単純な童話をストラヴィンスキーは素晴らしい音楽によって
ファンタジックに表わしストーリーは幻想的に展開します。
人形ペトルーシュカは殺されると夜空に不吉な呪いがかけられて民衆は
恐れおののきます。
私は童話とはかけ離れたより奇妙で不可解な作品にしようとしています。
                           勅使川原三郎
                       [メールマガジンNo.813より]

                          

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2017.06.05
2017年6月5日

昨日 世田谷パブリックシアターで行われた「アブソルートゼロ」公演の
4日目最終日でした。

お知らせしましたようにほぼ20年ぶりの再演でしたが、
再演というより新作と言ってよいほど新鮮に改善され成長した作品に
なったと私は考えています。厳密な計算によって準備した事と実際に
踊って初めて分かる事の両方の力によって、作品はより深く大きな
呼吸をするように活き活きと毎日の公演は生まれかわりました。
一つ一つの場面を丁寧にスタッフと協議して、
リハーサルを重ねることによって実現しました。
常にそうであるのですが、私側のスタッフと劇場スタッフが各分野、
照明、音響、舞台美術、舞台設営、舞台監督、公演制作スタッフ、
広報スタッフ、みなさん無しでは今回のアブソルートゼロ」の再生は
不可能でした。ありがとうございました。
そして、劇場には多くの観客の方々がご来場いただきました。
ありがとうございました。
それぞれ立場の異なるみなさんの作品に向けられた力が、私と佐東利穂子
を後押ししてくださり、私たちは日々生まれかわるように
作品を踊りました。
それは作品の中に新たに生きることでした。
ひとつの公演をやり遂げ終了することが次の公演に生きることを可能に
させてくれるのを強く実感する日々でありました。
そして今私が感じることは一つ一つの公演の大切さです。
大きな拍手や歓声を得た作品に生きる為には一瞬たりとも気が抜けません。
一瞬も気の抜けない仕事、全身の集中を高める
仕事ができる私は幸せ者です。
 
私たちは、明日パリに行きます。
パリオペラ座バレエ団への振付作品の準備の為です。
秋に世界初演する新作の出演者選定ワークショップ、装置美術、
衣装などの打ち合わせをする3日間の短期滞在ですが
充実した準備をしてきます。
帰国後は「ペトルーシュカ」の初演に飛び込むというわけです。
 
もう一度、みなさんどうもありがとうございました。                           勅使川原三郎
                       [メールマガジンNo.805より]

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2017.06.02
2017年6月2日

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昨日、世田谷パブリックシアターにて、「アブソルートゼロ」公演の初日。
劇場は20年前にオープンした今は
その価値と地位を確立した公共劇場です。
私たちはその開館を飾る名誉をあずかり「Q」という作品を初演しました。
 
その翌年に「アブソルートゼロ」は初演され、そして再演し、
その後ヨーロッパと日本国内の数多くの都市で公演してまいりました。
ほぼ20年ぶりの劇場への帰還になる「アブソルートゼロ」の初日は、
再演と呼んでいますが、初演と言える新鮮な出来栄えでありました。
しかし、そのような初日を終えた今、私は心引き締まる思いであります。
荻窪のアパラタスのシリーズの名のようにアップデートし、
より良い作品になるべく稽古をしていきます。
それだけ成長できると考えるとなんとも楽しい気分になります。
この自然の感情は作品を支えるものであります。
のびのびと気持ちをこめて、
心身ともに律して作品の為に生き直す心意気で今日の公演に向かいます。
あらためて、世田谷パブリックシアター20周年おめでとうございます。
                           勅使川原三郎
                       [メールマガジンNo.802より]

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2017.05.17
「アブソルートゼロ 絶対零度」と共に 

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1998年の世田谷パブリックシアターでの初演以来、数多くの国、
都市を巡り、約20年ぶりの世田谷での再演です。
創作した作品は作られた時に持った力や価値が、公演を重ねることに
よって様々な経験を経て成長し成熟していくものです。人間のように。
初演当時、ダンスキャリアが始まったばかりの佐東利穂子は今や世界
最高レベルのダンサーとして成長していますが、彼女が作品をより高
度に推し進めることは間違いありません。彼女の特異な身体制御が生
み出す美しく際どいダンスは今までに無かった価値を与えるはずです。
「アブソルートゼロ」が新たな生を得て活き活きと世田ヶ谷に帰って
きます。しかし再演というより新作公演の心意気で今準備しています。
初演の清々しい呼吸を基に、矛盾を恐れずに私たちは調和を踊ります。
 
                         勅使川原三郎

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2017.05.08
2017年5月8日

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昨日はアップデートダンス#46「硝子の月」の3日目の公演でした。
連休中にも関わらずご来場いただいた多くの方々に感謝します。
初日から的確に改善し、作品は少しずつではありますが成長していると、
私たちは感じています。
まるで破れたガラスの破片の縁のような際どい価値観、
そのエッジのギリギリで生きる物=私たちは自らに突きつけた時間の先端で
終りのないダンスをしているようです。
そしてまたこの作品にはなぜか予感めいたものが含まれていて、
古(いにしえ)からどこをどのように辿り着いたのか、今日、たった今、
現実の不可解を呼吸しながら空気と物と時間の合間に
私たちはダンスを創作しています。
4日目の「硝子の月」が楽しみです。 
                     勅使川原三郎 
                      [メールマガジンNo.778より]

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2017.05.06
2017年5月6日

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昨日はアップデートダンス#46「硝子の月」の初日でした。
今日、新たな方向を予感する作品「硝子の月」は
アップデートします。以下は今日の公演に向かうテキストです。
私は未だ存在しなったものに触れる
それは向こうからやって来る
在ると無いの間に私がいて
無いものが私に触れる
それでもそれは無いもの
硝子の反射
光の反射としての闇
闇は光を反射する
光のない命はありえない
二つは常にひとつ
光と闇を同時に見る
光と闇を同時に踊る
それが命の在り方
光と闇は無限に変容をつづける
無限の変容は無限回繰り返される
月は何も変わらない
光の反射が私を変えているのだ 
                     勅使川原三郎 
                      [メールマガジンNo.776より]

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2017.04.27
2017年4月27日

No.43音楽の絵本_A4チラシ入稿用_アウトラインなし
今日は「トリスタンとイゾルデ」シアターX公演の2日目です。
昨日の初日、荻窪(アパラタス)での初演から
両国でアップデートしました。
私たちが創作を再演する理由は、作品を愛していることの実証であり、
我々自らが最善の批判家であるべきであるという
自覚を持つ決意の表れでもあります。
再演の喜びそのものは観客の皆さんとの共作であります。
劇場の方々、スタッフ、照明スタッフ、音響スタッフの皆さんの
力添え無くして有り得ず、困難に向けて泰然として
前のめりでいて崩れない姿勢こそ、みんなの心意気。
一日一日少しずつ歩を進めることの楽しさ、ありがたさ、
笑顔でまた今日そして明日。 
                     勅使川原三郎 
                      [メールマガジンNo.769より]

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2017.04.15
2017年4月15日

メルマガ用580×330
メルマガ用580×330
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本日は「パフューム」の8回目最終公演です。
この作品は以前にも紹介しましたように、
2014年初演以来の再再演で、
改訂を重ねて今回の内容になりました。
 
私は初演時のエッセンスを保ちながら、大胆に
そして細かい様々な展開にも工夫を施しました。
 
香るもの、呼吸するもの、付着するもの、、、
匂い香るとはどういうことでしょうか。
匂いの変容とも言えるでしょう。空気に肌に
体内に触れた瞬間からある匂いはひとつでは
なく、境界のない匂いの世界が広がりゆく。
ダンスが匂いのみに執着した作品を生んだこと
は過去なかったのではないでしょうか。
 
作品が可能になったのは、佐東利穂子の身体と
その身体が有する臭覚と身体から空気への浸透
力があればこそです。
つまり匂いが彼女になり彼女が匂いとして空気
に変身したといえます。
そう断言しますのは、今回の公演の初日から私
が目にして体験したものは演出を超える実態で
あったからです。
 
作品を構想し照明や音楽をデザインした演出家
にとって大きな喜びです。
彼女の才能がこの作品によって大きく成長した
ことは間違いありません。
これほどまでテーマを高度に表出した能力に私
は驚きました。
 
純度という価値が身体表現に適するなら、
私は佐東利穂子に最大限の賞賛を与えます。
彼女は、他に類を見ないほど、現在そして将来
にも重要なダンサーであると私は考えます。
 
精神と身体がこれほどまでに研ぎすまされ、
純度を感じさせる力は、鍛錬と研究によるもの
で、佐東利穂子はそれを率直に実行しました。
 
希有な才能は成長をつづけ純度を高めていく。
 
                     勅使川原三郎 
                      [メールマガジンNo.767より]

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2017.04.09
2017年4月9日

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今日はアップデートダンスno.44佐東利穂子のソロ
「パフューム」の3日目。
3年前の初演から時を経て再再演の初日、静かな輝きを放ちながら復
活しました。そして昨日の2日目は正にアップデートでした。
緩やかでありながら鮮烈に佐東利穂子の身体が、
ダンス - メタモルフォース - 変容しました。
「香水」というタイトルが表わすように香しき蒸気を湧き立たせる彼
女は、変身をつづけ、時に黒々と毒々しく発し、濃く色づいた果実の
香りを散布し蒸発させ彼女の外側をめくりは返し内側の裸体を露わにした。
「パフューム」は、シーンの数々、佐東利穂子の希有な揮発性の身体は、
内密に巡る溶液によって変容し踊りつづけます。
色彩豊かに匂い香る希有な美しいダンスが、
2017年春に荻窪で花咲いています。 
                     勅使川原三郎 
                      [メールマガジンNo.760より]

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2017.04.08
2017年4月8日

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   下写真:「パフューム」 / 2014年シアターX公演よりphoto by Kotaro Nemoto (STAFF TES)

 
昨日、アップデートダンスno.44「パフューム」の初日でした。
2014年にアパラタスで初演し、同年にシアターXで再演した
佐東利穂子のソロ作品です。
香水というタイトルが表わすように香しき蒸気を湧き立たせました。
春、外では桜をはじめ様々な花が群れをなして咲くこの季節、
荻窪のアパラタス地下2階ホールでは、色彩豊かに匂い香る
佐東利穂子が変身をつづけ、彼女の身体から時に黒々と毒々しく発し、
濃く色づいた果実の香りを散布し蒸発させ彼女を裸体にした。
これは様々な質感を特殊な溶液で時間と調合したダンス作品です。
この「パフューム」は、佐東利穂子を希有な揮発性の身体に
変容させました。彼女は内密にか細く巡る溶液によって動かされ、
自然界の無限の繰り返しを超低速度で身にまとっているかのようです。
予兆さえも記憶として逆流させる時間のメソッド、
重力を解放する呼吸、距離から一切の単位を奪い取った測量器、
上昇と下降が同時作動する踵、揮発性の身体が脈略もなく展開する
シーンの数々、佐東利穂子はいままでになかったダンスを踊りつづけます。
希有な美しいダンスが、2017年春に荻窪で花咲いています。 
                     勅使川原三郎 
                      [メールマガジンNo.759より]

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2017.01.28
2017年1月27日

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      写真:2014年「LINES」より 庄司紗矢香氏との共演 photo by Akiko Miyake

荻窪のアパラタスの「シェラザード」の8回公演を終えて、
すぐに成田を発ち、私と佐東利穂子は今パリです。
一昨日は2017〜18のパリオペラ座のプレスコンファレンス
(記者会見)がありオペラとバレエの創作やレパートリー作品の上演の
年間スケジュールを紹介する大きく重要な会見に同席しました。
来年からバレエ団の芸術監督に就任するオーレリ デュポン女史より
紹介されて私も壇上に上がりました。
私は創作を委託された10月に世界初演の創作について、
その趣旨や技術的なことを語りました。
パリオペラ座は重要な変革期にあると感じた会見でもありました。
私ができることを最大限発揮してオペラ座全体との協力体制を完全にして
臨みたいと思います。というのは私は振付の他、装置、照明、衣装、
ヘアメイクの全てを担当するものですから総勢何人になるでしょうか、
とても多くのスタッフと仕事をすることになります。
もちろんダンサーの選びから始まり、基礎段階のワークショップから
即興、そして構成振付という発展プロセスを進みます。
すでに昨日は一回目のワークショップを行い、今日は少し発展させて
ダンサーを一人ずつ見ようと思います。
これから様々な角度から創作のプロセスは積み上げられます。
ワークショップの前には、素晴らしいバイオリニストの庄司紗矢香さん
にお会いして、数日後にナントで共演する時の為の
ミーティングをしました。というか堅苦しいものではなくて
久しぶりに会ったのでお互いの近況や芸術について話しました。
ナントでは、バッハのパルティータの2番5曲を彼女が演奏して、
佐東利穂子と私が踊ります。
同時にシベリウスの協奏曲を演奏するというのですから驚きました。
芸術的にはもちろんですが、なんと言えばよいのでしょうか、
超人的な芸術家なのです。尊敬します。
いつか佐東利穂子と庄司さんの1対1の共演をみたいものです。
うむ、最高だろうな。
今からうきうきしてきて、いても立ってもいられず、
オペラ座(ガルニエ)でのワークショップの後、
私たちも少し時間をあけてもらい自分たちの為に練習しました。
今後、3月初旬まで予定がつまっていますので、
その都度様々な報告ができると思います。 
                     勅使川原三郎 
                      [メールマガジンNo.704より]

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2017.01.10
2017年1月10日

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年明けはやはりダンスで始まりました。今年もよろしくお願いします。
アップデートダンス #42「シェラサード」は、すでに全8回のうち
4回を終えました。今日はオフで、明日から後半の4回が始まります。
 
リムスキー コルサコフ作曲の音楽に徹底的に向き合い、
音楽と一体となり、音楽を吐き出すくらいの勢いで踊り、
音楽と共に昇華してしまうまで徹頭徹尾、音楽と身体、
音楽とダンスとが生み出す濃密な流れを追求しています。
印象になりさがる音楽には決してならず、バレエ音楽風な物語から
解放されなければならないダンスと音楽の関係を「厳密と自由」の
生命の有り方の探求であり、これこそ私が欲する芸術の
ひとつの有り方であると実感しています。現在進行形の生命こそ
ダンスの本位であると考えますが、音楽への尊敬は、そのまま
ダンスへの教訓でもあります。音楽に己の全てを託すところから
始まるこの仕事は、常なる実際の静けさや音の発生と同時に湧き上がる
沈黙と共に生き生きとダンスになります。
私と佐東利穂子は隙間を譲らず絡み合い、新たな時を紡ぎ、
新たな不可解を解放すべく「固定された場所」を「流動する空間」に
変質させ踊りつづけています。
 
年の初めにこの作品を公演する喜びを全身で感じています。
とてつもなく大きな抱えきれない明るさです。
これからもどうぞよろしくお願いします。 
                     勅使川原三郎 
                      [メールマガジンNo.690より]