Profile / プロフィール

勅使川原三郎
勅使川原三郎

ダンサー、振付家、演出家。クラシックバレエを学んだ後、1981年より独自の創作活動を開始。1985年、宮田佳と共にKARASを結成。既存のダンスの枠組みに捉えられない新しい表現を追求している。類い稀な造形感覚をもって舞台美術・照明デザイン・衣装・音楽構成も自ら手がけている。呼吸を基礎にした独自のダンス・メソッドと、光・音・空気・身体への美意識、そして空間を質的に変化させる独創的な身体表現は世界に衝撃を与えるとともに高く評価され、国内のみならず欧米他、諸外国の主要なフェスティバルおよび劇場から招聘され毎年多数の公演を行っている。2013年には東京・荻窪に劇場とギャラリーを併設した活動拠点カラス・アパラタスを設立。独自の思想に基づく芸術的精神から、年間を通して「アップデイトダンス」シリーズを上演している。尽きることのない創作意欲で、新たな生命=ダンスを生み続けている。その他、インスタレーション、映像、執筆等を行い、芸術表現の様々な局面で常に新たな可能性を切り開いていく芸術家として、近年ますます国際的な注目を集めている。

 

自身のソロ作品、佐東利穂子とのデュエット作品、KARASのグループ作品の他にも、独創的で芸術性の高い舞台作品は世界中から注目され、世界の著名なカンパニーからの振付の依頼が後をたたない。フランスのパリ・オペラ座バレエ団への振付は日本人として初めての快挙であり、2017年にはすでに3度目となる同バレエ団への新作「Grand Miroir」をガルニエ宮にて上演。他にフランクフルト・バレエ団、バイエルン国立歌劇場バレエ団、ネザーランド・ダンス・シアター、ジュネーブ・バレエ団、イエテボリ・ダンスカンパニー、ローレーヌ・バレエ団、アコスタ・ダンツァ等へも振付提供作品がある。

 

複合的かつ深い美意識に包まれた空間構成と音楽への豊かな感受性から、オペラの創作・演出依頼も多数ある。1999年に英エジンバラ音楽祭の「トゥーランドット」(プッチーニ)に始まり、これまでに伊ベニス・フェニーチェ劇場「ディドとエネアス」(パーセル)、仏エクス・アン・プロヴァンス音楽祭の「アシスとガラテア」(ヘンデル)など古典作品の新演出を手がけ、音楽を主体にした身体表現としてのオペラが斬新な驚きを呼んでいる。2015年にはパリ・シャンゼリゼ劇場からの委託でタルコフスキー監督の映画で著名な「SOLARIS」をオペラとして作曲家の藤倉大氏と共に新創作。台本と演出・美術・照明・衣装を担当した。2016年にはあいちトリエンナーレのプロデュース・オペラで「魔笛」(モーツァルト)を演出し、愛知・大分・神奈川で上演。2018年7月にはスウェーデンのドロットニングホルム宮廷劇場で「ピグマリオン」の新演出が決まっている。

 

造形美術家としても、日本、ドイツ、フランス、イギリス、オーストリア、などに招聘され、インスタレーション作品の創作、展示を行なっている。また、映像作品では1993年に初監督作品「T-CITY」を発表して以来、オリジナル映像作品が多数ある。2009年にはシドニーのicinema ( centre for interactive cinema research )とのコラボレーション研究の結果3D映像インスタレーション Double Districtを上海、フランスにて発表。映像としての身体とその動きの新たな可能性を示した。全く次元の違う身体表現の世界を作り出し続けている。

 

表現活動の中心には創作と共に、呼吸を基にした独自のダンス・メソッドによるワークショップが常にある。KARAS創設以前より継続してワークショップを行い、現在に至るまで国内外で若い世代の教育に力を注ぐ。1995年にはロンドンで1年間に及ぶ若者のためのプロジェクトS.T.E.P.(Saburo Teshigawara Education Project)を設立、その後、ロンドンとヘルシンキの共同企画公演「Flower Eyes」へと展開した。その他、ローレックス メントー&プロトジェからアートプログラムのメントー(指導者)を委託され、1年間(2004~2005年)に渡り若手芸術家育成支援事業に関わった。2008年には、新国立劇場・富山市オーバードホール・まつもと市民芸術館の3館で10代のダンサー達と共に1年間のワークショップを行い、創作した作品「空気のダンス」を上演し、勅使川原のダンス・メソッドの確かさが高評を得た。このプロジェクトで育った若いダンサーがカンパニーの一員として国内外での公演活動に参加し、その身体メソッドを継承している。そして2006年度から2013年度は立教大学において、また2014年度からは多摩美術大学で教育現場における新世代との創造活動にも意欲を注いでいる。(2018.02 記)
 

佐東利穂子
佐東利穂子

1995年からKARASワークショップに参加。1996年より勅使川原三郎振付の全グループ作品に出演。刃物のような鋭利さから、空間に溶け入るような感覚まで、質感を自在に変化させる佐東のダンスは、身体空間の新たな次元を切り開く芸術表現として国際的に注目されている。
 

2005年ローマ初演の「Screem and Wisper」で仏・伊のダンス雑誌「Ballet2000」の年間最優秀ダンサー賞、2012年には日本人で初めて第40回レオニード・マシーン賞、2018年に芸術選奨 文部科学大臣賞を受賞。

 

佐東のためのソロ作品も創作され、世界中で公演を行い高い評価を得ている。2009年初演、勅使川原ディレクションによる自身初めてのソロ作品「SHE-彼女-」を公演。 強烈で感動的な印象を残し、現在もヨーロッパを中心に世界で上演が続いている。他に「パフューム」「ハリー」(小説「ソラリス」より)、そして活動拠点のカラス・アパラタスでのアップデイトダンスシリーズでもソロ作品が多数ある。勅使川原のダンス・メソッド深く理解し、その衝撃的に美しいダンスは特別な存在として支持され、近年各地で熱狂的な反応を巻き起こしている。

 
佐東と勅使川原とのデュエット作品は世界中で高い評価を受けており、「オブセション」(2009)、「静か」(2016)、「白痴」(2016)、「トリスタンとイゾルデ」(2017)をはじめとして、公演依頼が絶えない。また、音楽家との共演では2014年にバイオリニストの庄司紗矢香氏との「LINES」、ピアニストのフランチェスコ・トリスターノ氏との「LANDSCAPE」、2016年のピアニストの山下洋輔氏との「up」など、音楽への深い感受性をもって、勅使川原三郎と共にダンスと音楽の新たな表現を追求している。

 

オペラ作品では、1999年 英エジンバラ音楽祭の「トゥーランドット」、2010年 伊ベニス・フェニーチェ劇場「ディドとエネアス」へダンサーとして出演。2015年にパリ・シャンゼリゼ劇場から勅使川原三郎が創作を委託され舞台上の全ての演出を手がけた「SOLARIS」にも出演。1つの役を歌手とダンサーでつくるという演出において、ヒロインのハリー役をつとめ、複雑な感情が爆発するような葛藤を強烈なダンスで踊りきり、作品世界を牽引した。2016年あいちトリエンナーレでの「魔笛」では、ダンサーとして出演しながら全編を通して物語を語るナレーションを担当。音楽、言葉、美術と身体による複合的な表現に挑戦し、芸術家としての領域を広げ進化している。

 
勅使川原の創作の振付・演出助手としては、KARAS作品のみならず、パリ・オペラ座バレエ団「Grand Miroir」(2017)、「闇は黒い馬を隠す」(2013)、イエテボリ・ダンス・カンパニー「Tranquil」(2016)、「Metamorphosis」(2014)等、世界の著名なカンパニーと共に仕事をしている。そして、近年は佐東自身への振付依頼が海外からき始めている。(2018.03 記)