2020年7月8日

タルホ 稲垣足穂の破片
 
いわゆる少年が持つ葛藤、自己や世界の裏と表から直感する
 
戸惑いから一挙に救い出してくれたのがタルホの世界観でした。
 
奥底に沈殿する重さから浮上して軽やかに時間や場所に移動す
 
る軽やかさ、表面に広がる瞬間的永遠性、美のはかなさ、無声
 
映画のスラップスティックなイメージは現実にも展開できるの
 
だと自覚した。権威や高踏的経験など不要な自由を獲得した。
 
夢こそが現実、タルホが言う、夜空に浮かぶ月はブリキ製と知
 
った時から世界も時間も思い通りに取り扱って良いのだと勇気
 
づけられた。それは単なるイメージの遊びではなく生きる思想、
 
伝えられた古き文化風習の有り方は、良きも悪しきもその人間
 
の身体性によって異なる。新旧ではない時間の扱いには身体が
 
伴う思想が無ければ生かすことはできない。世界の価値は未だ
 
固定されていなくて、随時生きる者によって想像的に作られる。
 
そして古きものが現実になり、新しきものが古くなり得るのだ。
 
私はそのように生き、カラス アパラタスもつづいていくだろう。
                       勅使川原三郎
 
レイアウト案

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