Works / 活動紹介

ワルツ

愛知県芸術劇場 芸術監督 勅使川原三郎 新作ダンス「ワルツ」
 
 
振付 演出 照明 衣装 :勅使川原三郎
アーティスティック コラボレーター:佐東利穂子
ダンス:勅使川原三郎、佐東利穂子、ハビエル アラ サウコ
 
舞台監督:金子芳弘(ニケステージワークス)
舞台監督助手:山貫理恵(ニケステージワークス)
照明技術:清水裕樹(ハロ)
音響技術:佐々木道浩(金井大道具NAGOYA共同企業体)
協力:KARAS
 
主催・製作・企画制作:愛知県芸術劇場
助成:音楽堂等活性化・ネットワーク強化事業(地域の中核劇場・音楽堂等活性化)
   独立行政法人日本芸術文化振興会
 
上演時間:60分
初演:2023年7月
「ワルツ」に向かう
 
音楽は何か特別な力を与えてくれると感じる時、何を私は得ているのだろう
 
世界を支配する不合理は、止めどもなく我々に迫り来る。
気づいた者が警鐘を鳴らすことがあれば、無視することがあり、
本当に気づかないことは気づきようがないと考えるだろう。
恐ろしい事に気づいた時、すでに時遅く間に合わないが、学び
は大きいはずだ。故に恐ろしさへの予備感覚は、生きていれば
自ずと備わる。だまし絵のような世間の繰り返しが、以前と同じ
ではないように、変わりつづける世界の姿、人間の影、水の流れ。
話が公演する作品と無関係のようだが、私にとっては深く関係
している。
作品を作ろうと考える時、私にはある種の危機感が作動していて、
早く作りたいと体内から突き動かす力が湧く。数年の間に準備し、
近づく一ヶ月に焦り始め、最後の一週間に諦めを超える勇気が、
最善の無力を力に変える。危機感とは喜びを希求する危機感でも
ありうるものであり、私にとって否定的な用語ではない。
いつ始まりいつ終わるか知らぬ生。
今とは、瞬間ではなくこの状態、誰かと何かを共にする今、
それを脅かされる危機感は、喜びの為に働くべきだと私は思う。
「ワルツ」、冷めた静けさに酔いしれ、湧き立つ喧騒に興奮する。
音楽、永遠の過去の最後の沈黙から始まり、終わる前の最後の
10秒間は永遠につづく。
 
勅使川原三郎
2023. 7. 16
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