Works / 活動紹介

銀河鉄道の夜

構成. 振付. 照明. 美術.  勅使川原三郎
出演 勅使川原三郎 佐東利穂子 他
 
照明技術:清水裕樹(ハロ)
音響技術:三森啓弘
衣装製作:武田園子(ヴェロニク)
 
主催:有限会社カラス
企画制作:KARAS
特別提携:シアターX(カイ)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会
 
上演時間:60分
初演:2020年9月 両国・シアターX

銀河鉄道の夜
 
星祭りの夜
ジョバンニとカンパネラ
いつの間にか列車の中
ずっと二人は一緒だね
何度も確認するジョバンニ
支えるカンパネラ
水から来て 空を巡り
水に帰る
生と死の終わりなき循環
水ー生命ー鉱物ー植物ー水
循環連結列車
天の川 澄みきった宇宙
銀河鉄道は時を超えて
微かに色のついた期待と
静かに寂しさの間を進む
いつまでも一緒だよ
 
勅使川原三郎
ギャラリー
レビュー(抜粋)
2020年12月号ダンスマガジン 吉田裕 氏
(前略)身を引き裂かれるようなジョバンニの慟哭は、その全身の揺らぎーー小刻みに、手足の先から徐々に頭部へと至るーーによって、「驚愕」「傷み」「苦悶」「呻吟」「絶望」「孤独」をこれ以上ないほど鮮烈に伝えきる。見る者が思わず胸を押さえるくらいの切迫感をもって。
 やがて主人公は現実世界に戻り、静謐のなかで物語は幕を閉じる。舞台はこのままフェイドアウトしていくかに思われた。が、次の瞬間、銀河の煌めきにも勝る圧巻のシーンが訪れた。音もなく現われたカムパネルラの魂。ジョバンニと二人、弦の響きに身をゆだね、大きく、深く、四肢がたゆたうなかで心を通わせていく。その後、そっと星のかけらを手のひらに乗せ、ゆっくりと交換し合った。ようよう消えゆく照明ーー。
 これほど淡々とした情景により、これほど劇的な救済がもたらされた事例は、まさしく類を見ない。はからずもこのラストによって、原典の深層をさえ描ききったといえるのではないか。
 それはたんなる冷徹な批評性ではなく、また、原作者・宮澤賢治への熱いオマージュにもとどまらない。ある種、賢治の内奥の「憑依」すらも、そこには実感されたのである。