Works / 活動紹介

調べ
−笙とダンスによる−

構成 振付 照明 美術 衣装:勅使川原三郎
出演:佐東利穂子 勅使川原三郎
笙:宮田まゆみ
 
照明技術:清水裕樹(ハロ)
音響技術:大石明
 
主催:有限会社カラス
企画制作:KARAS
制作協力:BLUESHEET
特別提携:シアターX(カイ)
助成:文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)
 
上演時間:60分
初演:2018年5月 両国・シアターX
公演歴:
2020年 愛知
演奏曲目
 
1. 沈黙
2. 下無 (しもむ) ー音の響き
3. 盤渉調調子 (ばんしきちょうちょうし)
4. 平調調子 (ひょうじょうちょうし)
5. 迦陵頻急 (かりょうぶんのきゅう)
6. 雙調調子 (そうじょうちょうし)
7. 平調 (ひょうじょう) ー音の響き
8. 沈黙
演奏家と舞踊家の呼吸が生み出す「時」
八百年の時をこえた新たな「調べ」
天空に舞い 地上に舞い降りる
古来から吹く風 笙の響き
 
 
「調べ」に寄せて
天からゆるやかに舞い降りる薄い箔 笙の音
宮田まゆみさんが奏でる古来からの時
吹き上げられる佐東利穂子 そして勅使川原三郎
永遠との透明の会話は途切れることはなり
踊るべくもなく踊る
過剰と不足の矛盾の渦の中に身を無くし天に昇る
始まりも終わりもない領域に踏み入る恩恵を得るダンス
三人の呼吸がそのまま音楽になり踊りになる
呼吸家たちは地をすべり空にとける
風よりも遠く 胸よりも深く高く
生を失う時のあっけなさと生きているまどろっこしさ
生きる重苦しさから解き放たれたいと願い
もっと生きたいと恥じらい
私たちが出会う今にこそ 古来からの風が吹いてくる
沈黙と沈黙のなんと豊かな間(あいだ)
調べ
勅使川原三郎
ギャラリー
レビュー(抜粋)
ダンスマガジン2018年8月号 執筆者:村山久美子氏 (舞踊評論家)
宮田の笙の繊細に空気を揺らす音色にシンクロする二人のダンスは、音楽とのまったく異なる融合の仕方で、非常に興味深かった。佐東は音楽に包まれ、そのイメージ、表情を毎瞬毎瞬の美しい形に変換して描いてゆく。とくに腕の動きの流れに、音楽の繊細さが感じられた。いっぽう勅使川原のダンスは、笙の細く伸びのある音に深く入り込み、完全に融け合って一体化した。ゆったりとした柔らかい動きが、いっさい途切れず角張らず、ねっとりと濃度のある液体を揺らすように続いてゆく。舞台の空気の重みや量感を自在に変化させるきわめて高度なダンスである。勅使川原の、身体の芯や、足の裏や指、腰といった、ダンスの動きを生み出すための重要な部分のコントロール力の素晴らしさこそが、音楽とのこれほどの一体化を可能にしたのだろう。稀有のダンサーである。
シアターX批評通信 第94号より 執筆者:小沼純一氏 (早稲田大学文学学術院教授)
ひとつの音がのびる。ふたつ、みっつと重なってゆく。持続する音たちがあるなかで、上下にはさまれた音がわずかに変わる。ヴィヴラートの振幅が変わり、ハウリングが起きる。わずかでありながらも変化しつづける音・音たちのありようにダンサーのからだは鋭敏に反応し、ときに音を先どり、とくに遅れる。持続する音の宇宙から沈黙を切りだしてくる笙と、不動と動をゆきかうからだとの交差。佐東利穂子と勅使川原三郎は、骨の直線と関節の曲がりによる息の分節。この音のありようとからだのありようのあいだにあるものを、みずからの「調べ」として、チューニングとしてとらえることができればステージにふれ「鑑賞」するよりはるかに豊饒な体験となる。おそらくそれは二人のダンサーにとっても。