2018年11月27日

月に憑かれたピエロRGB
「月に憑かれたピエロ」と「ロスト イン ダンス」の初演は、
今週末の12月1日から始まります。この2つの新作は対を
なすものと言えるでしょう。普通一般が共通に持っている
美しい音楽というのではないのですが、その高度な音楽演奏
と舞台装置、語るように歌うマリアンヌ プスールさんの素晴
らしく魅力的な歌唱、佐東利穂子と私の2人が不可思議で異質
な美を体現します。それは「変身」するダンスです。
第一部の「ロスト イン ダンス」は佐東利穂子が踊る
「ダンスギリギリのダンス」と言えるまでダンスし、個性という
ものを失うほどで、私が彼女のダンスの捧げた作品です。
佐東利穂子のこの10年の成果は異常とも言えるほど高度で
魅力的ですが、特にこのダンスには彼女の頂点を見ることに
なるはずです。
第2部はシェーンベルクの名曲に新たな展開を与えたものです。
私自身の装置デザインと照明デザインが、光によって闇をあぶり
出します。奇妙で素晴らしい音楽に身体の詩、空間の詩、
言葉の詩、そんなアリキタリの詩ではない、詩人のいない詩が、
眼球を切り裂く盲目的眩さ(まばゆさ)、くらんだ目の中の
出現と消滅が、、、月に憑かれた道化を夜空に放り出す、いいえ、
道化は故郷の帰っていく、彼に故郷などありもしないくせに!
                                         
                             勅使川原三郎
                            2018/11/27
                         [メールマガジンNo.1187より]

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