新作「月に吠える」に向けて充実した稽古を積み重ねています。
詩の解釈を表現するのでも、詩の内容をなぞるのではなく、
詩から受け取れる事は何か、強烈な稽古の中から湧き上がる力は、すでに
詩表現に留まることなくダンスとして独自の領域に入ってきています。
ダンスとは面白いもので、どのようにダンスを否定するかによって
新たに有効なダンスへの接近を可能にするのです。
新たに有効なダンスとは、我々が持ちうる疑問への答えを導き出す為に
有効で魅力的な身体の動きを生み出せるという意味です。
ですから、否定は決して消滅させる為の否定ではなく、生み出す為に
必要な技術と言っても過言ではないものです。
こんな理屈は聞きたくないという方は、是非公演を見に来てください。
私たちダンサーは、徹底して肯定的に身体を駆使し、つまり喜びの
ダンスと共に手に掴みたい物をがっちりと懐に納める為に格闘しています。
「月に吠える」に闘いを挑んでいるとも言える態度こそ
求められるわけです。作品内容は、微妙な変化を基にして日々振動しつづけ
構築されうるべきものを組み立て今は遥か先にしか見えない地点に
向かって進んでいます。それが稽古です。
この作業が面白くなくてなんでしょう。
詩人の顔はすでに擦り減りある種の怪物のような詩集から怪物が、
誕生するかのようにうごめいています。
勅使川原三郎
[メールマガジンNo.876より]
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