今日は「ペトルーシュカ」の5日目です。
初日から4回の公演を経て、作品は明確な形を表してきました。
もちろん「動く形」です。音楽と照明、そしてダンスとの
全体構成は変わっていません。
しかし日々踊りこむことによって作品に力が加わり、
それがダンスの面白さですが、決められた振付の繰り返しではなく、
作品に日々の新たな命が息づくのです。
生き物としての作品には、単なる準備した足し算のような計算では
到達できない水準に昇っていく力が沸き起こります。
もちろん日々の稽古や公演によって蓄積されたものが
基盤になければなりません。
まるで天候など自然界の現象のような動きつづける恒久性が、
限られた小さな劇場空間、限られた上演時間、限られた2人の身体、
それらが深く的確に働き合う時、特別な力を獲得して作品という
元々は形がはっきりしていなかった物に、青空に不定形の湧き上がる
雲のようにくっきりした動く形を与えるのです。
今日、新たな日に作品は、呼吸する今日の「ペトルーシュカ」として
表れます。出演者こそ作品という命を支えなければならないと
自覚して臨みます。
勅使川原三郎
[メールマガジンNo.820より]
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