今日は「ペトルーシュカ」の4日目です。
旧来の古典的「ペトルーシュカ」の内容を変えて苦悩や絶望が
身体化して皮膚から肉から切り離せられない人間そのものを
人形の姿にして表わすことにしました。
暗くアイロニカルな展開ですが、希求する美がどこにあるのかにも
焦点を当てようと私は考えました。
「美」を感じられるのは、「絶望の眼球」に映し出される現象や物質、
そして生き動く物が、私たちに向かって不可解な動作
(時にあまりに当たり前の)によって通常の理解を超えた「美しい」
を投げつけるからではないでしょうか。
私は「絶望」こそ人間に力を与えてくれるものではないかと思うのです。
望むべき喜びの根源にあり、「失望」から湧き上がる
アイロニーという知性は芸術を求める。
そこに不快感から解放される身体があります。
再構成された音楽は、より不安定な平衡感覚を増長させ、
未だ見ぬ物を視界に捕らえさせてくれる手助けをする。
ストラヴィンスキーの音楽こそ「ペトルーシュカ」です。
この作品には、密やかだが力強い見えない糸が張りめぐらされていると、
私はあらためて考えています。
勅使川原三郎
[メールマガジンNo.817より]
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