2017年4月8日

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4.8.6-01
   下写真:「パフューム」 / 2014年シアターX公演よりphoto by Kotaro Nemoto (STAFF TES)

 
昨日、アップデートダンスno.44「パフューム」の初日でした。
2014年にアパラタスで初演し、同年にシアターXで再演した
佐東利穂子のソロ作品です。
香水というタイトルが表わすように香しき蒸気を湧き立たせました。
春、外では桜をはじめ様々な花が群れをなして咲くこの季節、
荻窪のアパラタス地下2階ホールでは、色彩豊かに匂い香る
佐東利穂子が変身をつづけ、彼女の身体から時に黒々と毒々しく発し、
濃く色づいた果実の香りを散布し蒸発させ彼女を裸体にした。
これは様々な質感を特殊な溶液で時間と調合したダンス作品です。
この「パフューム」は、佐東利穂子を希有な揮発性の身体に
変容させました。彼女は内密にか細く巡る溶液によって動かされ、
自然界の無限の繰り返しを超低速度で身にまとっているかのようです。
予兆さえも記憶として逆流させる時間のメソッド、
重力を解放する呼吸、距離から一切の単位を奪い取った測量器、
上昇と下降が同時作動する踵、揮発性の身体が脈略もなく展開する
シーンの数々、佐東利穂子はいままでになかったダンスを踊りつづけます。
希有な美しいダンスが、2017年春に荻窪で花咲いています。 
                     勅使川原三郎 
                      [メールマガジンNo.759より]

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