2017年4月15日

メルマガ用580×330
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本日は「パフューム」の8回目最終公演です。
この作品は以前にも紹介しましたように、
2014年初演以来の再再演で、
改訂を重ねて今回の内容になりました。
 
私は初演時のエッセンスを保ちながら、大胆に
そして細かい様々な展開にも工夫を施しました。
 
香るもの、呼吸するもの、付着するもの、、、
匂い香るとはどういうことでしょうか。
匂いの変容とも言えるでしょう。空気に肌に
体内に触れた瞬間からある匂いはひとつでは
なく、境界のない匂いの世界が広がりゆく。
ダンスが匂いのみに執着した作品を生んだこと
は過去なかったのではないでしょうか。
 
作品が可能になったのは、佐東利穂子の身体と
その身体が有する臭覚と身体から空気への浸透
力があればこそです。
つまり匂いが彼女になり彼女が匂いとして空気
に変身したといえます。
そう断言しますのは、今回の公演の初日から私
が目にして体験したものは演出を超える実態で
あったからです。
 
作品を構想し照明や音楽をデザインした演出家
にとって大きな喜びです。
彼女の才能がこの作品によって大きく成長した
ことは間違いありません。
これほどまでテーマを高度に表出した能力に私
は驚きました。
 
純度という価値が身体表現に適するなら、
私は佐東利穂子に最大限の賞賛を与えます。
彼女は、他に類を見ないほど、現在そして将来
にも重要なダンサーであると私は考えます。
 
精神と身体がこれほどまでに研ぎすまされ、
純度を感じさせる力は、鍛錬と研究によるもの
で、佐東利穂子はそれを率直に実行しました。
 
希有な才能は成長をつづけ純度を高めていく。
 
                     勅使川原三郎 
                      [メールマガジンNo.767より]

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