2016年6月15日

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アップデートダンス #35「トリスタンとイゾルデ」公演は
6日目を終え、あとは今日と明日となりました。
私はワーグナーの偉大な音楽に導かれ我を忘れて、
このダンス作品を準備し構成し、そして踊りました、佐東利穂子と共に。
今や佐東利穂子の高度な技術と明解で強力な存在表現は
世界中見ても他に類のないダンスそのものといってよいと思います。
私のメソッドから誕生した佐東利穂子という「ダンス」は、
「トリスタンとイゾルデ」によってより大きな成長をつづけています。
オペラからいままで存在しなかったダンスが変容するように
日々生まれかわっています。
私自身も当然日々新たに生まれるようにして生き踊っています。
このエネルギーは事物や気持ち、精神を常に率直に感じ取り、
絶え間ない自問自答から逃げず、不条理や不可能性を友にあります。
そして自分から離れた我として呼吸する身体を踊らせる時、
新しいも古いもない、これしかないダンスが生まれるのです。
私たちは、そのようにダンスを語ることができます。
目の前にある「時刻」に我の全てを投げだす覚悟、
それは私たちの「ダンスの時」であり「トリスタンとイゾルデ」が、
与えてくれる貴重な「生」であります。「死」が透けて見えるような、
真水のような「時」といってよいかもしれません。 
                   2016/6/15 勅使川原三郎
                    [メールマガジンNo.445より]

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