2016年5月3日

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「静か」初日を終えて
 
今年2月に荻窪のアパラタスで初演した作品は、劇場が
変わり新たな生を得ました。
この早い再演の理由は、構成要素(無音)がもつ独特の力と
極度に緻密な進行による異次元の質感と時間の提示です。
作品の根底にある保証のない際どさは、私の創作精神そのも
のですが、決してはずしてはならない厳密さがなくては不可
能で、成し遂げるための「持続力」と恐れない「勇気」がなけ
れば実現できない仕事です。
佐東利穂子の内側の動くダイナミズムは凄いものです。普段
使わない言葉で表さねばならないほどですが、
「勇気」と「持続力」、そして、それらをダンスにする技術。
私自身にも求めつづけてきた、これらのことが佐東利穂子に
備わっているとあらためて感じる公演でした。
ダンス、私たちダンサーにとって、究極の際どさに常に身を
置きたいと願っていますが、その実行は簡単ではありません。
また、この公演ではいままでにない異質の開放感も体験しま
した。劇場全体が伸縮する呼吸しているようでした。新鮮。
観客の皆さんと共有した沈黙は作品の要素として貴重でした。
ありがとうございました。
今日は2日目、楽しみです。 
                   2016.5.3 勅使川原三郎
                    [メールマガジンNo.395より]

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