2016年5月29日

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宮沢賢治という詩人であり作家は、私たちにとってとても大きな存在です。
その数多くの作の中でも詩編「春と修羅」には
特別の力がこもっているように思われます。この広大無辺な宇宙観、
ひとつのものを微細と巨大の視界に焦点を合わせることができる
希有な詩人であると私は考えます。
その偉大な詩をもとにしたダンスによって接近を試み、
作品にすることは大きな冒険でありました。
公演は初日から昨日までの3日間を私のソロにしました。
私は巨大な詩世界のほんの一部分にしか
触れることができないかもしれませんが、それしか私にはできません。
しかし人間の身体のどこをとっても人間であるように、
ほんの小さな接触でも賢治であることには変わりはないはずです。
私ができることは、詩の解釈の表現ではなく、
詩の中に飛び込んで呼吸するような体験的な創作でした。
今日の公演も私のソロになります。
週明けの後半では佐東利穂子や鰐川枝里が登場することになります。

                    2016-5-29 勅使川原三郎
                      [メールマガジンNo.423より]

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