2016年12月6日

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アップデートダンス #41「AND」は、3回の公演を終えて
今日は休演日です。
「そして、、」「、、と」ふたつ或はいくつかのものを並列に表し、
結びつける役割の接続詞といっていいのでしょうが、
行き着く到達地のない、つまり結末の前にある、
いや結末すらない経過の途中にある橋、渡り廊下、半透明の
セロテープや糊のような「AND」。
しかしダンス作品としての「AND」は、強烈な音響音楽や急展開の
逆転などに彩られて時間が失われ、空間性が希薄になり、
存在価値を失っていくかのように変質するサトーリホコの身体が、
砕かれ引き裂かれては再生しつづける生命体の本質に則ったダンスが
展開する。こじつけになるとは思いますが、2016年ノーベル生理学、
医学賞を受賞した大隅良典氏が研究された「オートファジー」の研究を
思いだしました。細胞自体が持っている破壊された細胞の再生機能、
そして生命の恒常性の維持に関与している細胞の役割と 
個体発生の過程とを私なりの身勝手な接近でサトーリホコの身体から
推論すれば、まさに私たちKARASのダンスが向かっている方向は、
生命科学と異なる方向ではないと私は考えます。
これを読む方の中には、無理のある理屈の展開だと
思われる方がいるかもしれませんが、私は事実の積み重ねとしての
ダンスの稽古や創作過程において、身体-運動-研究と生命科学研究は
異分野だとは考えられないので、以上のような話をこのダンス作品
「AND」と結びつけたのです。
公演後のトークでサトーリホコは、自分こそがこの「AND」
という接続詞であるのではないと話していました。
作品は実際に舞台で踊って初めて生命を得て、それが様々な過程を経て、
生命つまりダンスそれ自体を息づかせることになるのだろうと
私たちは考えています。
ここに、また新たなダンスの誕生を祝いたいと思います。
これからの4回目以降の公演にどうぞご参加ください。
                  2016/12/6 勅使川原三郎 
                   [メールマガジンNo.653より]

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