大充実の「ペレアスとメリザンド」公演の後、間もなく新作公演があります。
昨日から両国のシアターX(カイ)における新作「ある晴れた日に」
(12月3~6日公演)の仕込みが始まりました。
先ず照明を作る作業が重要ですが、どの公演でも私が最も気を使い時間を
かけるのがこの仕事で、私自身が一番楽しみな時間です。
照明作りよって文字通り作品が徐々に見えてきます。
照明作りとは、単なるライティングによる明るさの変化を言うのでは
ありません。空間の広がりと凝縮、時間感覚の伸び縮み、その空間温度の変化、音楽の響き方や聴こえ方、出演者への視点制御など、あげたら切りがないほど多様で複雑な役割が、照明の作り方によって全く異なるものになるのです。
今日は照明と音楽やノイズなどとの調和を作り仕上げます。もちろんダンサーがその中の重要な要素として登場してシーンが表れてきます。シーンを作るということなのですが、実際はそれまで存在しなかった不可思議なものが出現するのです。それが仕込みの一番の楽しみであり醍醐味です。すでにポーランドで初演はしていますが、必ずこのシアターXで成長した作品を
提示したいと強く考えています。雨が降りつづける街、体内に雨が降りつづける人々、淡々と力強く身体と雨がデュエットする。間接的にブルーノシュルツから影響を受け微かにガルシア マルケスと暗黙の会話をしながら出現した長雨を主題にした「ある晴れた日に」はもうすぐ初日です。
出演は勅使川原三郎、佐東利穂子、鰐川枝里、加藤梨花です。
どうぞご来場ください。
2015/12/02 勅使川原三郎
[メールマガジンNo.253より]