作品は踊って初めてわかるものだ。作品を舞台上で無心で踊り、身体を客観的に動かす。私も佐東利穂子も。我々のダンスはそうして成りたなっている。そして公演後にしかわからないことがある。初めて発見し受け取る内容と価値がある。
「静か」には音響、音楽は無く、終始無音で進行するのが、この作品の特徴。ただ実際の舞台体験では、音楽を使わない効果として無音があるというのではなく、もっと強い「沈黙」の厚みを体感する。空気と距離感、身体が感じる強烈な厚みと薄さの変化。それは音楽が「在るか無しか」ではない「絶対的な質感」だ。空っぽが充満している「動的」で「豊か」な「空気空間」である。無音や沈黙は聴こえる聴こえないではない「見る」ことなのだ。
それが、今回の公演で鮮烈に感じたことだ。明日から5回目以降がはじまる。
「静か」は過去の総括であり、これから先に向けた決定的に重要な作品、公演だ。
生きる、そのことと同様の大切な価値があるのだ。
勅使川原三郎
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