佐東利穂子の新作「紫日記」は公演初日に向けて準備は順調に進んでいる。
彼女の精神、「詩情」が静かに現れる。寄り添った古典からの影響がある
「詩」から離れ、体内の奥深くへ沈み、浮かび上がる現在の「舞踊詩」ダンス
ポエム。身体の内と外で沈殿と浮遊を往復するプロセスに新たな冒険。
今回、私は照明のみを担当しているが、佐東の創造は、「根本的な純粋性」
から生まれるのをこの新作でも見ることができる。それは佐東が手がけた
音楽構成から感じ取ることができる。
特徴的な佐東の「壊れやすさ」は、養われた強靭な身体でしか成し得ない。
つつましく、優雅で、消えかけて最後に光り輝くロウソクの炎のように。
「はかない美」が、幻を現実にし、現実を幻にする。
私は全てを見逃すまいと目を凝らす。
一生の縮図と一瞬の拡大。



写真:Saburo Teshigawara, Yumiko Inoue(ALEXIADRE)