SKINNERS -揮発するものへ捧げる

演出/振付/美術/照明/衣装:勅使川原三郎
出演:勅使川原三郎、佐東利穂子、鰐川枝里、加見理一、高木花文、山本奈々
上演時間:75分
初演:2010年11月27日 東京芸術劇場中ホール
製作:KARAS
共同製作 / 主催:フェスティバル・トーキョー
公演記録:
2011年 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
2011年 まつもと市民芸術館 実験劇場

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レビュー(抜粋)

 光、音楽、動きが波動となって伝わり、意味を含む動きや表情を排したダンスが、観客の言葉になる以前の感覚を刺激する。そして観客は、身体を包む薄い皮膚の内側に息づく生命、「常温では揮発する」不可視の悠久の時間の記憶を知覚するのだ。勅使川原の作品を見た後、人はもはや同じ方法で世界を見ることがないのである。

産経新聞2010/12/4 岡見さえ

 身体を覆っている皮膚の下では、音が先なのか、身体の振動が先なのか、シンクロしているのかそれすらも分らない。身体の内部から音の粒子が皮膚を破って放射されていく瞬間がある。しかもそれは以前なら光の粒子のように繊細であったのだが、身体を揺るがせ、壊してしまうかもしれないほどの激しさももっている。音の粒子と純粋に正直に身体が向き合っている。(中略)  勅使川原三郎は、すべての比喩を排除して要素や原理そのものを踊ろう、あるいはそのものと交感しようとしている。

公明新聞2010/12/10 今野裕一

 不協和であるがゆえにぶつかりあうように聞こえる和音同士のあいだに生じる“うねり”を、佐東の変幻自在な身体が細かく蠕動しながらしっかり受け止める。メロディやリズムを作ることなく空気を刻むピアノの音に、勅使川原の左右の腕や脚、上体が完全に連動し、それぞれ別個の生命体であるかのように高速で振動しながら空間を切り裂いていく。(中略)  空間や音とダンサーの動きが連動し、やがてすべてが一緒になって生成する、純粋な情感に満ちた世界。ダンサーの身体が劇場全体を振動させ、観客にまでその力をおよぼすこの作品は、フェスティバル・トーキョー2010の掉尾を飾るにふさわしい、圧倒的な舞台であった。

ダンスマガジン2011年 3月号 貫成人

 絶えず動きつづけるダンサーの身体の脈動そのものが作品なのだ。仕掛けも策略もなくダンスに真正面から向き合う。そこに身体の悦楽と、その悦楽が引きずるブラックホールのような常闇が浮かび上がる。ダンサーたちは寄せては反す波のように、誕生と消滅を未来永劫に繰り返す生命体に変身する。(中略)  SKINNERS(皮剥ぎ)とは、わたしには文字通りひと皮むいた生身でそこに立つことのように思えた。奇をてらわず、真正面から剥き出しの皮膚で「ダンス」に向き合うこと。踊ることによってのみ招来できるものはなんなのか。作品はそのことに対しての終わりなき挑戦なのである。

F/T10 Documents石井達朗