「シナモン」
ブルーノ シュルツ原作によるダンス作品の2016年以来の再演。
シュルツ独特の世界観が開いた本のページの隙間や紙の表面から吹いてくる。
漂う湿気、あらゆるところから発せられる匂いや香り、生き物の微熱、生命
もつ物質、置き去りにされた過去がさまよい今に紛れこむ言葉、身体となり
作品の素になる。蒸発した形が影に溶けている。影になった形が動きだす。
言葉に影あり、影に言葉あり。影に溶けた明るさ。別名、光。命ある思い、
別名、天使。シュルツの世界観に私が見るものは揺れる影と去りかけた天使、
それらの密会。
短編「肉桂色の店」、不確かな筋立ての不整脈、私たちはその脈拍をもう一度
測る。
2019年春 勅使川原三郎
[メールマガジンNo.1332より]
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